本夛マキがデビュー前1999年から使い続けているギターについて。
今まで、ライブや色んな場所でお話をしてきましたがこのブログでも書き残しておこうと思います。
こちらは、熊本県のクラフトマン中島馨さんが製作してくれたアコースティックギター『“OWL-from scratch”』です。
写真のサウンドホールラベルに書いてあるのは
“OWL”〜from scratch
serial No.61 date unknown
Kaoru Nakashima
Misato,town,Kumamoto,Japan
です。
馨さんにこのラベルを貼ってもらったのは最近で、1999年に手に入れてから実に22年も経った2021年10月でした。
1999年にわたしがこのギターを手に入れた時には、このラベルは貼られていないプロトタイプの状態でした。
そんなカオルギターとの出会いのはなし。
1999年当時のわたしは、デビュー前の19歳。
事務所の社長に勧められて、新しいアコギを探していました。
『良い音楽は良い楽器からじゃないと生まれへんねや!』
と名物社長タイスケの森本さんに言われたこと、今でも覚えています。
そんなわけで、19歳のマキちゃんは楽器屋さんに自分に合いそうな新しいギターを探しに行きました。
楽器屋さんに色々と教えてもらい、GibsonやMartinやその他たくさんのギターを見せてもらい試奏もしました。
しかし、どれもあまりしっくりこなくて「うーん」となっていたところ。
少し離れた壁にかかっていた別のギターを見つけました。
シェイプもピックガードも何もかも、どのギターとも違っていたそれを発見したとき、わたしの目はキラキラしました。
店員さんに「試しにアレを弾かせてください!」
と、お願いをして弾かせてもらったらば…。
うわあ…!!!
となったのです。
まるで自分の手と体に合わせたようにピッタリ寄り添ってくれた。
音も優しい繊細な音で(当時は)、一瞬で惚れ込んでしまいました。
わたしは
「これがいいです!これをください!!」
と店員さんに伝えたところ。
『これはねー…プロトタイプだから、サンプルで置いてあるだけで売り物じゃないんだよー』
と言われたのです。
しかし19歳のマキちゃんは、全然引き下がらなかった!笑
「そこを何とか!わたしはこのギター以外は興味がなくなってしまいました!何とかしてください!」
店員さんが、わたしの熱意に動いてくださり
『じゃあ製作者の中島馨さんに電話して聞いてみるね。たぶん難しいと思うけど…』
となったのです…!
ドキドキしながら、お店の椅子に座って返答を待っていたらば。
戻ってきた店員さんが言ったことは、
『売ってくれるって!
馨さんが“どんな人が欲しがってるの?”
って聞いてきたから、
“19歳のデビュー前の女の子です”
って言ったのね。
そしたら、
“売る気はなかったけど…面白いから売ります”
だって!!』
きゃーー!!
やったー!!
面白がってくれたー!笑
と、サンプルで出していたプロトタイプのカオルギターが、わたしの元に来ることが決まりました。
そして、その1999年からわたしのメインギターになったのです。
あの会話も状況も鮮明に覚えている。
馨さんも、きっと本当に売る気はなかったんだと思うのですが、プロトタイプギターと19歳の女子という組み合わせを面白がってくださったんだと思います。
それが、このカオルギターとの最初の出会いでした。
そこから2000年にアナム&マキでデビューしたときから、本夛マキになった今に至るまで。
わたしの相棒というか、すでに体の一部にほぼなっているカオルギターなのです。
馨さんとは、その後何度かやり取りをさせていただいたり、大きなメンテナンスのときには直接お願いをして参りました。
直接お会いできたのは、2、3回だったけれど、わたしにとってはカオルギターの親だからと、親近感と感謝を抱きまくりの存在なのです。
そうして、時は進んで2021年へ。
その頃の本夛マキは、2nd albumの制作に入りつつありました。
大切なアルバムレコーディングの前に、カオルギターを中島馨さんに今一度調整してもらうようお願いしたのです。
お忙しい中、快く引き受けて下さった馨さん。
そうして、調整後にわたしの元に帰ってきたカオルギターを見ると…。
1999年から何にもなかった場所に、見たことのないラベルが貼られていたのです…!!
もう、もう、すごくビックリして、すぐ馨さんに電話をしました。
お話をして聞いたところ、ご自身の作品がこんなに時間をかけて変化していく様を見れているのは中々にないことだ、とおっしゃってくれました。
1999年にはプロトタイプだったけれど、22年かけてマキちゃんのギターになっている、と。
(以前見ていただいたときも、随分と男前な音になっている、とも言われた事があります)
わたしが弾き続けてついた“キズだらけのギター”だから、“OWL”〜from scratchと名前をつけた、とのこと。
from scratchの言葉の意味も教えてくださり、本当に目から鱗でした。
「いつでもどこでもスタートラインを切れる」という意味。
…最高すぎるメッセージと素敵すぎる名前。
シリアルナンバーは記録が残っていたそうで、No,61だそうです。
作った日は分からなくて“unknown”。
…わたしは、馨さんと電話でお話をしながら震えていました。
まさか、まさかこんな日が来るなんて。
何だか、書いている今も震えてきました笑。
あの時プロトタイプだったカオルギターに、わたしが弾いてきた時間があったから、新しく名前を付けてもらったんです。
馨さんに心から感謝しております。
あの時も、今もずっと、きっとこれからも。
結構な時間、過酷な旅に連れ回しているので、けっして良い状態ではなかったギターなのに、調整していただくだけではなく新しく名前を付けてもらって、ラベルまで貼ってもらった…。
本当にありがとうございますね、馨さん。
ご本人にももちろん伝えているけど、常に言いたい笑。
ありがとうございます!!!
そして、そんなやり取りをさせてもらった2021年アルバム制作前の本夛マキ。
2nd Albumのタイトルはすぐに決まりました。
それが『from scratch』です。
その名前が格好良すぎて、素敵すぎて新しく『“OWL”〜from scratch』という新曲も作ってしまうぐらい。
(その曲は次回の作品に収録したいところ)
ライブでは何度か歌わせてもらったのですが、その新曲の説明をするのにめちゃくちゃ時間がかかる笑。
なので、ここに経緯を書き記しておきます。
ということで、わたしのギターの名前は
“OWL”〜from scratchなのです!!
わーい!
これからも長く一緒に過ごして参りたい。
弾く人によって音は変わるし、鳴らしたい音を鳴らしてゆきたい。
昔、森本社長が言ってくれた言葉
「良い音楽は良い楽器からしか生まれない」
その通りだと思う。
さらに言うなら、良い弾き手じゃないといけませんね。
良い音を鳴らして良い音楽を作れる良いプレイヤーでいたい限り。
ううう〜
そろそろライブでカオルギターを鳴らしたくなってきました…!
ということで、今日は“OWL”-from scratchギターのはなしでした。
読んでくださりありがとうございました!
渡辺香津美さんのがNo.60ってどこかに書いていました。その次のNo.61・・スゴすぎる!!